ニートのプライド
ニート君は、新聞を読む代わりに、ネットニュースをよく読んでいる。世の中にはふざけた連中が多くて、他人の財布からお金を盗んで、平気で暮らしているバカどもがいる。高校や中学を途中から怠けだし、数十人でつるんでいい気になってるバカだ。一生懸命働いている人たちに迷惑をかけ、社会に迷惑をかけ、自分たちの家族にも迷惑をかけていることが分からずに、いい気になっているバカ。
「あいつらが、一人で行動できるのなら、まだ理解してやる余地はある。だが、いつも大勢で群れて行動し、悪さも一人では出来ない。そんなセコい奴らに、何も言う資格は無い。それに、いざとなったら自分だけ逃げるような奴らだ。まったく、誇りのかけらもない」
バカな若者の暴力事件が報じられる度、ニート君はいつも怒りを露わにする。彼は、昔から、徒党を組まないと行動できない人間を嫌い、信用していない。一理ある。学生の時でも、誰かと組んで悪さをしている時は調子良いのに、いざ悪さが先生や親にばれそうになると、自分だけ逃げたり、いつも一緒に悪さをしている誰かの責任にしようとする奴が居ただろう。そういういい加減で、何のポリシーも、プライトも無い連中は、信用できないのだ。
なるほど、ニート君は、世間一般で言うところの「定職」には就いていない。けど、他人の物を盗んだり、他人を傷つけて迷惑をかけたり、家族に迷惑をかけたり、そういうことは一切していない。自分が生活するのに必要な金は、自分で何とかする。知人、友人に借りたりすることも無い。家族にも借りない。自分の力で、何とかしようとする。その方法が、世間一般のサラリーマンや自営業の人と違うだけだ。やり方は変わっていても、他人に迷惑をかけずに、自分の責任で行動している。
ニートにもプライドはあるのだ。
